2022 年 2022 巻 3 号 p. 74-78
本研究では,日本語母語話者における声調知覚能力を向上させるため,再生法を用いたメソッドを学習ツールに取り込んだ.2ヶ月間にわたり学習者に訓練を受けさせ,学習ツールが声調知覚能力に与える効果の有無について検証した結果,本学習ツールが声調知覚能力の改善に直接的な影響を与えるとは言えないものの,声調学習に対する学習意欲を向上させることが示唆された.その後,学習者によるフィードバックに基づき,学習メソッドとツールの見直しを行った.さらに,3週間にわたり52名(最終的に45名)の学習者に実験を受けさせ,ANOVA(分散分析法)による事前・事後・遅延テストを行った結果,実験群の成長率に統計的有意義な差があり,本学習ツールは声調知覚能力の向上に良い影響を与えることが示唆された.