抄録
氷結晶の再結晶化は凍結食品の貯蔵および流通時における品質劣化の原因であり,高品質な凍結食品実現のためには,その進行挙動の把握と予測・制御は不可欠である.しかし,再結晶化過程の系統的な検討は進んでいない.その理由は,①再結晶化は,氷結晶の形状・大きさ・数が同時に変化する複雑な過程であり,その定量的な把握に困難が伴うため,②ゆっくり進行する過程であり実験が長期間に渡るので,データの蓄積が少ないためである.筆者らは,①に関して,フラクタル解析を用いることで,再結晶化過程における氷結晶の形状変化を定量的に評価することに成功した.また,②に関して,凍結濃縮相の水の運動性(拡散係数)と再結晶化の進行速度との間に強い正の相関関係があることを見出し,長期間の貯蔵実験をすることなく,再結晶化の進行速度の大小を予測する可能性を示した.以上の結果は再結晶化挙動の系統的な理解の進展に寄与するものと考えられた.