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日本食品微生物学会雑誌
Vol. 30 (2013) No. 2 p. 116-124

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http://doi.org/10.5803/jsfm.30.116

原著

大阪市保健所管内の総合衛生管理製造過程承認施設で製造された賞味期限延長型 (ESL: Extended Shelf Life) 牛乳で「開封したところドロドロになっていた」などの苦情が複数件発生し,24,340本を対象とした自主回収事例となった.
製造者から収去した冷蔵保管未開封同ロット品,常温保管(開封)同ロット品および消費者からの回収製品すべてからPseudomonas fluorescensが検出され,分離菌を市販牛乳に接種したところ,25℃ 48時間で牛乳が凝固し,再現性が確認されたことから,本事例の原因菌はPseudomonas fluorescensであったと考えられた.汚染ルートとしては,充填工程直前のセミアセプティックサージタンク内部が負圧となったため,撹拌棒シャフトの貫通部より外気の吸い込みが発生した結果,細菌汚染が発生したと推定された.
HACCPシステム導入に伴う詳細な記録が汚染ルートの解明に役立った一方,HACCPシステムによる衛生管理はそれが予測する範囲内のハザードには極めて有効であるが,想定外のハザードや管理手段が設定されていないハザードには対応ができないことも明らかとなった.総合衛生管理製造過程の承認を受けたことと,このシステムを運用することは別のことであり,リスク評価や管理手段の検証・見直しにより継続的に運用の改善を図ることが必要である.

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