2016 年 33 巻 3 号 p. 138-141
宮城県では,生カキ喫食に関連したノロウイルス(NoV)による食中毒を未然に防止するため,市販カキを対象としてNoV遺伝子検出検査を実施している.検査は,厚生労働省の通知(食安監発第1105001号「III リアルタイムPCR法によるノロウイルスの定量的検出法」,以下通知法)に従って行われていた.しかし,過去にわれわれが行った調査では,real-time PCR法により検出されたNoV遺伝子数が陽性基準値未満であっても増幅曲線が確認されたすべての検体から,nested PCR法により増幅産物が生成され,特異的プローブを用いたサザンハイブリダイゼーションによりNoV遺伝子であることが確認された.以後,われわれの検査室では特に通知法上の陽性基準値を満たさないものの増幅曲線が認められた検体については,遺伝子の増幅とその増幅産物を特異性の高いプローブを用いて確認することが同時にできるnested real-time PCR法により,陽性および陰性の判定を行うこととしている.本研究では,カキなどの検出されるNoV遺伝子数が少ない検体を対象としたnested real-time PCR法の有効性を検討するために,平成23年11月から平成27年3月までに県内で買い上げた市販カキ894個体を対象として通知法のreal-time PCR法によるNoVの検査を実施した.その結果,陽性基準値である10コピーを満たさないものの増幅曲線が確認されたのは256個体(28.6%)であり,これら256個体についてnested real-time PCR 法による検査を実施した結果,73個体(28.5%)からNoV遺伝子が確認され,通知法の陽性基準を満たさないものの増幅曲線が確認された場合には,nested real-time PCR 法による検査が必要であることが強く示唆された.