老年歯科医学
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原著
虚弱高齢者における摂食・嚥下機能の低下と健康関連 QOL との関連性
森崎 直子三浦 宏子原 修一山崎 きよ子
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2013 年 28 巻 1 号 p. 20-26

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抄録
本研究は,虚弱高齢者の摂食・嚥下機能の現状を明らかにし,健康関連 QOL との関連性を分析することを目的とした。 虚弱高齢者 64 名を対象に質問紙調査およびフィールド調査を行い,年齢,性別,要介護度,ADL,認知機能,健康関連 QOL,摂食・嚥下機能のデータを得た。健康関連QOL は SF-8 を評価尺度とし,摂食・嚥下機能については高齢者誤嚥リスク評価指標 (DRACE)と水飲みテストの 2 段階でスクリーニングを行い「機能低下なし」,「機能低下リスクあり」,「機能低下所見あり」の 3 区分で評価した。摂食・嚥下機能と健康関連 QOL との関連性は一元配置分散分析および共分散分析を用いて解析した。 DRACE および水飲みテストの両評価において,摂食・嚥下機能低下リスクありの者は 31 名(48.4%),所見ありの者は 17 名(26.6%)であった。一元配置分散分析の結果,摂食・嚥下機能低下所見による 3 群間において,年齢と SF-8 の下位尺度である身体機能(PF),体の痛み(BP),全体的健康感(GH),活力(VT),社会生活機能 (SF),心の健康(MH)の 6 領域にて有意差が認められた。交絡要因となりうる年齢を調整するために共分散分析を行った結果でも,これらの SF-8 下位領域のスコアは,3 つの摂食・嚥下機能レベルにおいて有意差が認められた。 これらの結果から,虚弱高齢者における摂食・嚥下機能低下は,健康関連 QOL の低下に大きく関与することが示唆された。
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© 2013 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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