老年歯科医学
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臨床報告
観血的処置が有効であった認知症高齢者の習慣性顎関節脱臼の1例
後藤 新平仲宗根 敏幸
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2024 年 39 巻 2 号 p. 104-108

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抄録

 われわれは,観血的処置が有効であった認知症高齢者の習慣性顎関節脱臼の1例を経験した。患者は84歳女性。既往歴は右視床出血認知症,高血圧であった。2022年8月下旬,顎関節脱臼状態を認め,入所施設より精査加療目的にて当科受診となった。画像検査では両側下顎頭が関節隆起の前上方に位置しており,顎関節前方脱臼を呈していた。骨形態に明らかな異常所見は認めなかった。徒手的整復を行ったところ,整復は容易であり,2週間のサージカルガーメントによる開口制限を施設職員および家族に指示した。整復翌日に,自己にてサージカルガーメントを外し再脱臼した。再度当科を受診し徒手的整復を行った。帰施設し,同日夜間自己にてサージカルガーメントを外し,再々度脱臼をしたため,当院を救急受診したところ,経口摂取は困難で輸液管理目的にて入院となった。施設職員および家族と相談し,全身麻酔下にて10月に関節隆起切除術を施行した。術後,顎関節脱臼は認めず,経口摂取は十分可能であった。今後,高齢認知症患者の増加とともに,顎関節脱臼の患者の増加も予測されるが,治療法の選択に際しては,患者の全身状態とその病態に関する十分な診査,および社会的背景を考慮する必要がある。また,超高齢社会においてこのような患者が病院歯科を受診する機会が増加すると思われる。歯科医師が中心となり,カンファレンスを行いコメディカルと多職種連携を行うことで,早期に施設に戻れる環境を提供することができた。

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© 2024 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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