抄録
東京大学教養学部においては, 平成13年度から, 前期課程教育のすべての科目において学生による授業評価アンケートを実施している. 本報では, 図形科学に対する学生の授業評価結果を他科目と比較するとともに, 教師ごとの違い, 授業難度等と総合評価の関係について分析した. また, 教養学部情報・図形科学部会では, 他部会に先立ち, 平成5年度より学生による授業評価アンケートを実施してきたが, 平成5年度からの経年変化についても分析した. 主要な分析結果は以下のとおりである. 1) 図形科学に対する学生の授業評価結果は, 他の理科系基礎科目 (物理, 化学, 生物) と同程度であり, 数学に比べてやや高い. 2) 図形科学は複数の教師により講義されているが, 学生による授業評価結果には教師間にかなりの差がある. 3) 「難渡」, 「説明のわかりやすさ」, 「興味の湧きやすさ」と「 (授業の) 総合評価」の間には強い相関がある (相関係数は, それぞれ, -0.55, 0.94, 0.93) .また, 「総合評価」と受験率の問には強い相関がある (相関係数~0.73) . 4) 学生による授業評価結果を教師個人に戻すだけでは授業改善に結びつきにくく, 部会会議等での議論することが必要である.