抄録
本研究は, イタリアを中心として多用された≪立体透視図法≫に関して, その草創期に用いられたと推定される作図法を分析したものである.分析対象は, サン・ピエトロ大聖堂の主任建築家であったバルダッサーレ・ペルッツィが, 1531年に「喜劇≪バッキス姉妹≫の舞台装置」のために描いた平面図と立面図である.分析手順は, 最初に, 「喜劇≪バッキス姉妹≫の舞台装置のための平面図」の構図を検討する.つぎに, 「喜劇≪バッキス≫姉妹の舞台装置のための平面図」と「喜劇≪バッキス姉妹≫の舞台装置のための立面図」との対応関係にもとついて, ペルッツィの≪立体透視図法≫を考察する.その結果, ペルッツィは実際の距離のおよそ1/4の奥行寸法で, 舞台上に街路空間を再現したことが判明したのである.