領域気象モデルMM5と植物への霧水沈着過程を含む陸面モデルSOLVEGを用いて、サウジアラビア西部の森林保護区域周辺における地表面水収支と植生分布の関係を調べた。まず、MM5を用いてSOLVEGの上部境界条件となる大気最下層の(霧水量を含む)気象場を再現し、観測結果と一致することを確認した。次に、MM5の全格子について、植生の存在を仮定したSOLVEGによる鉛直1次元計算を実施し、植生への霧水沈着量および植生にとって利用可能な水資源の大きさを表す地表面水バランス指標(WBI)を計算した。計算されたWBIの分布と現地植生分布との比較によって、WBIの値が高い(豊富な水資源が存在する)地域に背の高い植生が分布する傾向が示された。利用可能な水資源の分布がこの地域の植生分布を決定する主要な要因であることが明らかにされたと同時に、WBIに基づく乾燥地域に生息する植生の分類方法の有効性が示された。