日本集中治療医学会雑誌
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原著
人工心肺を使用した心臓手術後の急性腎傷害に関する検討
水野谷 和之横山 健川名 信片山 勝之森本 裕二
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2016 年 23 巻 2 号 p. 141-147

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抄録

【目的】心臓手術後の急性腎傷害(acute kidney injury, AKI)は短期長期的な予後と関連する。今回我々は,人工心肺を使用した心臓手術後に発生するAKIに関して後方視的に検討した。【方法】2011年から2013年の期間に当院で人工心肺使用下に心臓手術を行った成人症例を対象とした。AKIは術後7日以内に発症したものと定義し,診断にはAcute Kidney Injury Networkの基準を使用した。【結果】対象症例は263例,AKI発症例は64例(24.3%)であった。2例が術後1週間以内に腎代替療法を必要とした。多変量解析の結果,男性,糖尿病,BMI,術前の推算糸球体濾過量,人工心肺時間がAKI発症に有意に関連していた。AKI群の91%がstage 1,78%が2日以内にAKIから離脱していた。【結論】性別以外のAKIリスク因子は過去の報告例と共通するものであった。AKI群の多くが軽症であり,短期間で改善が得られていた。

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© 2016 日本集中治療医学会
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