抄録
本報では, メタン発酵消化液の輸送・散布作業の計画支援モデルの適用による消化液の貯留槽及び中間貯留槽の容量算定を報告した.適用事例は, 年間に散布する消化液量を10,000m3とし, ケース1は中間貯留槽を設けない場合で, 貯留槽の容量を算定した.ケース2は中間貯留槽を設けた場合で, 貯留槽及び中間貯留槽の容量を算定した.モデルの計算結果を吟味して, 中間貯留槽への輸送の時期・能力を調整することで, ケース2の貯留槽と中間貯留槽の合計容量をケース1の貯留槽の容量と等しくできた.このことは, 中間貯留槽の設置が必ずしも建設費の純増とならないケースがあり, 中間貯留槽の導入による輸送・散布作業の効率化が期待できることを示す.また, この結果は, モデルが消化液の輸送・散布作業に関する多数の項目を日単位で「見える化」する効果と言える.