農業農村工学会論文集
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82 巻 , 5 号
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研究論文
  • 浅野 勇, 渡嘉敷 勝, 森 充広, 西原 正彦
    2014 年 82 巻 5 号 p. 285-296
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル フリー
    無機系表面被覆工の摩耗進行を定量的に測定するために, レーザ距離計を用いた摩耗測定手法を開発した.被覆面にステンレス製のアンカーを2箇所埋設し, アンカーの頭部を結んだ線を基線とし, 距離計の据付けによって生じる測定誤差を補正した.①被覆面の水分状態, ②距離計の据付条件, ③温度, ④表面の凹凸等が測定結果に与える影響を室内試験により検討し, 被覆面に表面水がある場合の適用は難しいが, 被覆面の表面水をウエス等で除去すれば, 他の据付条件, 温度, 表面の凹凸等の測定値に与える影響は小さく, 再現性の高い測定が可能であることを確認した.さらに, 実際の無機系表面被覆工水路で摩耗深さの繰返し測定試験を行い, 現場での測定精度が測定値±0.1mm程度であることを確認した.以上から, 提案手法が無機系表面被覆工の定量的な摩耗進行の測定に有効であることを明らかにした.
  • 向井 章恵, 堀野 治彦, 樽屋 啓之, 中桐 貴生, 櫻井 伸治
    2014 年 82 巻 5 号 p. 297-304
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル フリー
    傾斜地水田域の排水路床の粗粒化は, 生物の生息環境を悪化させる原因の1つである.本研究では, 砂州創出機能を持つ切り欠き付き水制を排水路床に設置することで, 砂州表層の粗粒化が抑制されるかどうかを検討するために室内実験を行った.その結果, 水制を設置しても, 細砂の砂州表層下への沈み込みなどによって, 砂州表層の粗粒化は直接的には抑制されないことが明らかになった.しかし, 現地排水路では砂州表層の粗粒化抑制が確認されている.これは, 傾斜地水田域では比較的顕著な排水路床の撹乱作用に, 水制設置による淀みの形成作用が加わることによって, イネ科植生が砂州に定着可能となり, 細砂を捕捉することによるものと推察した.すなわち, 水制の設置は間接的であるが砂州表層の粗粒化を抑制すると判断された.
研究報文
  • 河原 行弘, 星野 敏, 渡邉 紹裕
    2014 年 82 巻 5 号 p. 305-314
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル フリー
    フィリピンの農業開発計画に対し, 日本の政府開発援助(ODA)はその援助戦略に沿って多面的な支援を展開してきた.しかし, 援助戦略はフィリピンのニーズに完全に合致してはおらず, 必要とされる開発計画が支援されないケースもある.そこで, 開発計画への直接的な支援である開発調査, 無償資金協力及び円借款について, フィリピンの農業開発への援助実態を援助戦略との関連を軸に評価し, ODA実施上における課題とその改善案を検討した.その結果, 援助戦略と現実のニーズにはギャップがあること, 戦略の転換に対応できず効果的な灌漑開発が実施できなくなっている等, ODA実施上の課題を明らかにした.必要な農業開発計画を援助により効率的に実施するには, フィリピンのニーズにより即した戦略と, 現在の課題を的確に取り入れた開発調査を実践するなどの, 援助制度の改善の必要を示した.
  • 鵜木 啓二, 中村 和正, 古檜山 雅之, 高須賀 俊之
    2014 年 82 巻 5 号 p. 315-320
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル フリー
    北海道全域を対象に気象庁の観測データからUSLEの降雨係数(=降雨流出係数+融雪流出係数)を算出し, 分布状況を明らかにした.USLE本来の降雨流出係数の算出方法では10分値データを用いるべきであるが, 観測期間が1時間値よりも短いため, 算出された降雨流出係数に偏りが生じていた.そこで, 本研究では1時間値で算出した降雨流出係数に地域性を考慮した係数を乗じて, 10分値データから算出した降雨流出係数相当の値に換算した.
  • 山家 一哲, 杉山 泰之, 高橋 和彦
    2014 年 82 巻 5 号 p. 321-327
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル フリー
    樹園地の表層土壌に集積した肥料由来のリンは, 降雨によって懸濁態として流出することが知られている.カンキツ園におけるナギナタガヤ草生栽培が, 降雨時に流出する懸濁物質の粒径分布と粒径画分別リン濃度に及ぼす影響を, カンキツ生産が盛んな静岡県浜松市において傾斜ライシメーターを用いて調査した.草生区において流出した懸濁物質は, 1~10 µmの粒径頻度が86%を占め, 10 µm以上の粒径頻度は1%と非常に低くなった.一方, 裸地状態を維持した清耕区では1~10 µmの粒径頻度が62%と最も高かったが, 10 µm以上の粒径頻度は32%と草生区より高かった.草生区から発生した表面流去水中のリン濃度は, 測定したすべての粒径画分において清耕区より低かった.草生区における0.45 µm以下, 0.45~1 µm, 1~10 µm, 10 µm以上の粒径画分リン濃度は, それぞれ清耕区の33%, 36%, 6.3%, 5.8%となり, 草生区は, 特に1 µm以上の粒径の懸濁態リン濃度を減少させることが示された.また, リン濃度に表面流去水量を乗じた粒径画分別のリン流出量についても, 草生区は測定したすべての画分において, 清耕区の26%以下に減少させることが併せて示された.
  • 山岡 賢, 土井 和之, 柚山 義人, 中村 真人, 折立 文子
    2014 年 82 巻 5 号 p. 329-337
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル フリー
    本報では, メタン発酵消化液の輸送・散布作業の計画支援モデルの適用による消化液の貯留槽及び中間貯留槽の容量算定を報告した.適用事例は, 年間に散布する消化液量を10,000m3とし, ケース1は中間貯留槽を設けない場合で, 貯留槽の容量を算定した.ケース2は中間貯留槽を設けた場合で, 貯留槽及び中間貯留槽の容量を算定した.モデルの計算結果を吟味して, 中間貯留槽への輸送の時期・能力を調整することで, ケース2の貯留槽と中間貯留槽の合計容量をケース1の貯留槽の容量と等しくできた.このことは, 中間貯留槽の設置が必ずしも建設費の純増とならないケースがあり, 中間貯留槽の導入による輸送・散布作業の効率化が期待できることを示す.また, この結果は, モデルが消化液の輸送・散布作業に関する多数の項目を日単位で「見える化」する効果と言える.
  • 福本 昌人, 吉迫 宏
    2014 年 82 巻 5 号 p. 339-346
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル フリー
    荒廃農地調査の踏査の省力化に資するため, 多時期の衛星データと水田区画データ(GISポリゴンデータ)を用いて, NDVIの区画平均値に基づいて区画単位で荒廃している可能性のある水田を抽出する手法, すなわち踏査対象田のスクリーニング手法を提案した.茨城県の稲敷市と筑西市を対象として, 5月, 7月および8月のRapidEye衛星データ(一部, ALOS衛星データ)と水田区画データを用いてその荒廃可能性水田の抽出を行ったところ, スクリーニング効率(荒廃可能性水田に占める荒廃水田の枚数割合)は稲敷Aエリアが89%, 稲敷Bエリアが74%, 筑西エリアが47%であった.筑西エリアでスクリーニング効率がやや低かった原因は, 麦(冬作)の収穫後に夏作物の作付けが行われなかった水田が多く, それらの一部が夏季に雑草が繁茂した状態になっていたためであった.
研究ノート
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