抄録
フィードバック型ニューラルネットワークモデルを用いて, 富栄養湖における底層DOのリアルタイム予測を行った. その結果, 予測精度ならびに限界リードタイムは季節によって異なり, とくに夏季の限界リードタイムは2h程度と短かった. そこで, モデルの精度の向上を図るために, ウェーブレット解析によるノイズ処理を導入した・また・DO時系列を低・高周波数成分の2成分に分解し, これらを入力データとすることでDO時系列の時間一周波数特性を考慮したネットワークを再構築した. その結果, 予測誤差は大幅に減少し, 限界リードタイムも3~5倍の改善が見られた. さらに, 成層度パラメータを入力層に付加したところ, それによるモデルの精度の向上はほとんど見られなかった・そのため, 底層DOの予測に関して, 入力項目は過去の底層DOのみで充分な予測が可能であると考えられた.