日本乳酸菌学会誌
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総説
腸内常在菌の代謝産物と健康
―腸内ポリアミン濃度コントロールによる寿命伸長効果―
松本 光晴
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2013 年 24 巻 1 号 p. 18-25

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抄録
腸内常在菌の代謝産物の研究は少ない。我々は、数多く存在する腸内常在菌の代謝産物の中から、細胞の増殖や分化に関与し、非常に多岐に渡る機能を有するポリアミン(PA)に着目してきた。特に、PA の有する①抗炎症作用、②核酸安定化作用、③腸管バリア機能の充実化作用、④オートファジー促進作用、は健康と疾病に密接に関与している。腸管内PA 濃度を上昇させるBifidobacterium animalis subsp. lactis LKM512 を10 ヶ月齢マウスに週3 回、約1 年間LKM512 を投与した結果、腸内PA 濃度の上昇と共に寿命伸長効果が得られた。演者らが知る限り、カロリー制限無しでの哺乳類に対する寿命伸長効果が得られた食品成分は、レスベラトロールに次ぐ報告であり重要な知見である。本稿では、この効果の詳細を解説すると共に、今後の腸内常在菌の代謝産物の研究にとって強力なツールとなると考えられるキャピラリー電気泳動と飛行時間型質量分析装置(CE-TOF MS)によるメタボロミクス解析について紹介する。
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© 2013 日本乳酸菌学会
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