2017 年 28 巻 2 号 p. 66-73
トランスクリプトームやプロテオームは、ゲノム情報が実行に至るまでのメディアの流れと考えることができる。それらに対して、代謝物のトータルプロファイルであるメタボロームは、ゲノム情報の結果と考えることが出来る。言い換えれば、メタボロームはゲノム情報に最も近接した高解像度表現型と呼ぶことが出来る。これまで、メタボロームはトランスクリプトームやプロテオームといった上流のオーム情報と統合して運用され、ゲノム機能解明に資する情報を提供する目的で運用されてきた。上記に加えて、メタボロームは上流のゲノム情報と独立して運用することも可能である。すなわち、メタボロームを説明変数として、より下流のマクロフェノタイプを定量的に説明するメタボリックフィンガープリンティングという考え方である。メタボリックフィンガープリンティングは、遺伝子型の差異に起因する微妙な表現型の定量的差異を説明することができるだけでなく、生物の動的変動の表現方法としても有用である。本稿では、メタボリックフィンガープリンティングの実用的アプリケーションを示したい。