日本乳酸菌学会誌
Online ISSN : 2186-5833
Print ISSN : 1343-327X
ISSN-L : 1343-327X
総説
乳酸菌が放出する細胞外膜小胞の特性
倉田 淳志
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 33 巻 3 号 p. 179-185

詳細
抄録

乳酸菌は代表的な腸内細菌であり、いくつかの乳酸菌は培養液中に粒径 20-200 nm 程度の球状構造を持つ細胞外膜小胞(Membrane vesicles、MVs)を生産する。一般的に細菌の MVs は菌体由来の細胞膜から構成され、細菌由来のタンパク質や核酸を積荷として運搬して、宿主免疫細胞へ影響を与えることが明らかになりつつある。一方で乳酸菌の MVs は生化学的にあまり分析されておらず、免疫細胞への影響にも未解明な点が多い。本研究グループでは、Lactiplantibacillus plantarum JCM 8341 の MVs について物理化学的、生化学的、機能的な特性を解明してきた。本総説では、これまで明らかになった乳酸菌の MVs の特徴や機能を紹介する。乳酸菌は MVs を生産することで、腸内細菌叢-宿主免疫細胞間のクロストークにおいて特定の役割を担い、腸内環境の恒常性の維持に関与していると示唆される。

著者関連情報
© 2022 日本乳酸菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top