2018 年 2 巻 1 号 p. 29-38
マーケティング・チャネルにおける対立,すなわち,チャネル・コンフリクトは,古くから数多くの研究者たちが関心を寄せてきたトピックである。既存研究は,今日に至るまで,チャネル・コンフリクトの原因,解決策,および,結果に焦点を合わせながら,新たな知見を産出し続けてきた。しかしながら,近年,これらの研究知見を展望した論文は刊行されていない。そこで本論は,チャネル・コンフリクトに関する2つの研究潮流,すなわち,チャネル・コンフリクトの規定要因に関する研究潮流,および,チャネル・コンフリクトの結果に関する研究潮流について概観する。そして,それぞれの研究潮流に対応して,(1)デュアル・チャネルにおける対立に着目するということ,および,(2)組織能力を考慮に入れるということを,今後の研究が進むべき方向性として提示する。