抄録
ヒトは, 物体表面を指先でなぞる動的触察によって, 表面上の微細な凹凸を「ざらざら」といった粗さ感として検出することができる。このとき, 動的触察は物体表面に対して接線方向におこなっていることから, 指先の表面にはせん断方向の刺激が加わる。そこで, このせん断方向の刺激と粗さ感との関係を解明するため, 指の有限要素モデルを用いた解析と, 触覚ディスプレイを用いた心理物理実験をおこなった。この結果, 指先の表面にせん断方向の振動刺激をあたえ, 振動刺激の速度成分を変えることで粗さ感が呈示できることを確認した。