日本重症心身障害学会誌
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P2007 重症児病棟における結核対策
石原 あゆみ眞山 義民山本 重則
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2011 年 36 巻 2 号 p. 341

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抄録
はじめに 重症児病棟における感染症対策は、流行性のウイルス疾患が対象となることが多いが、結核も忘れてはならない感染症である。今回病棟看護師1名が結核を発症し、病棟内での対策を行ったので、報告する。 対象および方法 当該看護師は、H22.1月より軽度の咳嗽出現、6月の職員検診の胸部X線で診断され、痰のガフキー1号にて7月初旬入院した。1月から7月初旬に接触した可能性のある患者、職員が感染対策の対象となった。(1)長期入所者40名:院内感染対策として、7月中に全員の胸部X線、痰の多い患者の痰ガフキーおよびPCR、13歳以上はクォンティフェロン検査(QFT)、12歳以下はツ反を行った。保健所による接触者検診として、最終接触から2カ月後の9月に13歳以上はQFT、12歳以下はQFT+ツ反を行った。(2)短期入所者:該当期間中にのべ41名、実人数20名の利用があった。うちその後も当院の利用があった12名について、7〜8月にツ反を行った。9名は主治医が他院であったため、状況を文書で報告し、対策を委ねた。(3)職員(看護師、療養介助員、技術員、指導員、保育士):保健所より濃厚接触者と判定されたものは35名で、年齢によりQFT または胸部X線で健診を行った。なお患者家族、学校教員、ボランティアに関しては、接触はきわめて少ないと考え健診対象とならなかった。 結果 長期入所者のうちQFT陽性1名、判定保留1名あり、INH予防投薬の対象となった。12歳以下で2名にツ反とQFTの結果に乖離がみられた。 考察 病棟の中で、どこまでを濃厚接触者と判定し、接触者検診の対象にするかの判断が難しかった。長期入所者では胸部X線での判断も困難な上、過去の接触歴やBCG歴が不明の者も多く、検査結果の解釈も難しい。今後重症児病棟ならではのガイドラインの確立が望まれる。
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