日本重症心身障害学会誌
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一般演題
O-2-B-16 骨折リスク分類について
−つくし医療・福祉センターでの取り組み−
烏川 麻佑川野 琢也
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2013 年 38 巻 2 号 p. 296

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抄録
はじめに 重症心身障害児(者)は、運動障害、寝たきり、慢性の栄養障害等による骨の脆弱化や変形・拘縮により、微細な外力でも骨折に至るリスクが高いとされている。利用者の骨折事故の予防、介護時の骨折事故予防の意識向上を目的に実施した「骨折リスク分類」の取組みについて報告する。 対象 当施設入所中の利用者136名 取組み 骨折リスクとなりえる9項目をそれぞれ2〜3段階で点数化し、その合計を4段階で分類した。9項目は、1;経管栄養(経口摂取以外は1点)、2;抗てんかん薬服用(副作用にくる病、骨軟化症、骨粗鬆症があるいずれかを服用している場合は1点)、3;寝たきり(GMFCSレベルⅣ、Ⅴは1点)、4;血清アルカリフォスファターゼ値(成人基準値の260U/l以上は1点、18歳未満は各年齢の基準値以上は1点)、5;骨密度(YAM70%〜80%未満は1点、YAM70%未満は2点)、6;股関節関節拘縮(日本重症児協会チェックリスト「股関節の拘縮」の中等度は1点、高度は2点)、7;膝関節関節拘縮(日本重症児協会チェックリスト「膝関節の拘縮」の中等度は1点、高度は2点)、8;骨折の既往歴(2008年以降に生じた骨折について骨折回数に関係なく1点)、9;40歳以上の女性(1点)。これらの合計点数で0〜2点をレベル青、3〜4点をレベル黄、5〜6点をレベル橙、7点以上をレベル赤とし、「骨折リスク分類」を4段階で示し点数が高いものほど骨折リスクが高いとした。「骨折リスク分類」を基に利用者個々のレベルに応じた「骨折リスク判定カード」を作成し、ベッドサイドや車椅子、座位保持装置などに掲示した。本研究に関しては、倫理委員会の許可を得ている。 今後の課題 今後、利用者の加齢が進む中で、さらに利用者全体の骨折リスクが高くなることが予想され、個々に応じた対応が必要となってくると考えられる。そのため、実際に起こる骨折事故との関連性を長期的に評価し、今回の分類についてさらに検討を重ねていく必要がある。
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© 2013 日本重症心身障害学会
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