抄録
重症心身障害児(者)の呼吸管理において、気道軟性内視鏡(Flexible bronchoscopy:以下、FB)は有用で(水野:日本重症心身障害学会誌2006)、患者QOL向上のみならず自身の専門性を高めさらには研修医確保への効果も期待される。当科では、2010年に重症心身障害児(者)病棟にFBを導入してその有用性を実感し、現在日本小児呼吸器学会の活動としてその普及活動に携わることになった。今回その一環として、重症心身障害児(者)病棟でも整備しやすい携帯型スコープを用いて何もない状態からFBを導入する方法について報告する。
FB導入の際には、以下の3点が課題として挙げられる。
1.基礎研修:関連小児科内にFB指導のバックグラウンドがない場合、他科(呼吸器内科・外科・耳鼻科など)あるいは院外から支援を受ける準備が必要である。
2.機器整備:多くは自科所有機器がなく、他科機器を借用したり自科機器を購入したりする必要がある。初級者が安全に検査を行うには画像記録装置の準備や工夫が必須であるが、携帯型スコープを主体に諸経費は100万円前後で始動が可能である。
3.診療体制の維持:重症心身障害児(者)では比較的安全にかつ継続検査が可能な気管切開患者が多く、技術向上や機器の減価償却には効率がよい。保険点数は1回2,500点で上記設備投資に対して年間20件×3年間で減価償却される。
重症心身障害児(者)医療では嚥下内視鏡検査や胃瘻カテーテルの先端留置確認など応用範囲は広く、加えて研修への意欲向上などのメリットも考えられる。FBの経験を持たない場合でも、重症心身障害児(者)病棟でその導入は実現可能である。当科では要請があれば日本小児呼吸器学会の活動として、FB導入のための実技講習や診療応援などFB普及のための支援を行っていく予定である。