抄録
本研究は糖尿病とその予備群患者の人工膝関節置換術(以下TKA)後の感染に対する認識と運動療法の
実施における困難さの実態を明らかにすることを目的とした.整形外科に外来通院している糖尿病およびその
予備群のTKA後患者を対象とし,半構成的面接調査を行い,質的帰納的に分析した.分析の結果,感染に
対する認識は【感染に関する認識がある】が【感染に対して重大だと考えていない】,運動療法の実施に対す
る困難さは【運動療法に対する否定的な思い】【運動療法を促される環境にない】【転倒への危機感】【加齢
に伴う身体の不調】【運動と日常生活活動との関連性の理解が不十分】が明らかとなった.多くの対象者が
【感染に対して重大だと考えていない】状況であり,全対象者が【転倒への危機感】を感じていた.患者は膝
の機能が十分でないと運動療法の実施は困難だと感じ,家族は患者の転倒を心配し,その思いを感じた患者
は運動に消極的になる可能性が示唆された.