日本看護技術学会誌
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研究報告
乗車者および介助者を考慮したスロープ勾配と車いす昇降介助操作方法に関する検討
―車いす走行動態と介助負担および主観的乗り心地について―
能登 裕子村木 里志
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2010 年 9 巻 2 号 p. 55-66

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抄録
 本研究は介助者および乗車者を考慮したスロープ昇降介助操作方法を提案することを目的とし,勾配の大きさをふまえた昇降操作方法と,介助負担および乗り心地との関係を検討した.被験者は,若年者群15組と高齢者群17組の2群を設けた.操作条件は①昇り,②降り前向き,③降り後ろ向きの3種類とし,勾配条件は1/25から1/6の7条件に設定した.測定項目は車いすの走行動態,乗車者の乗り心地および介助者の介助負担についての主観評価とした.介助者が高齢の場合,昇り ・降りとも1/8および1/6勾配は介助者の負担が大きく,操作不可や停止困難な場合があり危険であることが示された.また,両群とも勾配が大きくなると介助者の操作の容易性は低下し,乗車者の恐怖不安感は増大,総合的な乗り心地は低下した.車いすの速度変動は,いずれの操作においても若年者に比べ高齢者のほうが大きい傾向がみられた.一方,高齢介助者の降り操作では,前向きに比べ後ろ向きのほうが速度変動が小さかった.以上のことより,介助者がスロープ勾配を昇降する場合,勾配の大きさと介助者の年齢および操作方法により走行動態や介助負担および主観的乗り心地に違いが生じることが示唆された.
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© 2010 日本看護技術学会
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