日本栄養・食糧学会誌
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総説
食物繊維の栄養・生理機能に関する研究
(平成19年度日本栄養・食糧学会学会賞受賞)
海老原 清
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2008 年 61 巻 1 号 p. 3-9

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抄録

食物繊維は難消化性のために,栄養素中心の栄養学では注目されることはなかった。しかし,食物繊維には栄養素では達することのできない種類の栄養・生理機能があり,健康を維持する上で必須な食品成分であることが明らかにされた。現在,食物繊維の定義,分類,分析法については,まだ意見の一致をみていない。食物繊維の研究が進む中で,小腸で消化されないでんぷんの存在が明らかになり,それらはレジスタントスターチとよばれ,食物繊維と同様の栄養・生理機能を有することが明らかになった。食物繊維の栄養・生理機能は粘性やかさ形成能などの物理・化学的特性によって影響された。食物繊維やレジスタントスターチは生活習慣病予防を目的とした食品の開発に応用されている。

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© 2008 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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