抄録
タンパク尿は慢性腎臓病の危険因子であるといわれている。アルブミンはタンパク尿の主成分であり, その大部分は生体内で輸送タンパクとして脂質と結合している。その脂質の一つにオレイン酸がある。本研究では, タンパク尿による尿細管障害のメカニズムを明らかにするため, 培養近位尿細管細胞mProx24において脂質結合アルブミン (oleic acid bounded-BSA: OA-BSA) 負荷の影響を検討した。mProx24細胞へのOA-BSA負荷により細胞生存活性が有意に低下した。その細胞生存活性の低下は抗酸化剤であるNAC, レスベラトロール, ビタミンC, Trolox (水溶性ビタミンE誘導剤) により阻害された。また, OA-BSA負荷によりCaspase-3活性が有意に増加した。培養近位尿細管細胞mProx24では, 脂質結合アルブミンOA-BSAにより酸化ストレス増強によるアポトーシスが誘導されることが示唆された。