抄録
高脂肪食に牛乳・乳製品を添加し,骨代謝へ及ぼす影響について検討を行った。12週齢SD系雄ラット40匹を標準食(Normal)群,高脂肪食(Fat)群,高脂肪食+脱脂粉乳(Fat+Milk)群,高脂肪食+発酵脱脂粉乳(Fat+Yogurt)群,高脂肪食+ホエイ(Fat+Whey)群の5群に分けた。84日間の実験食投与の結果,Fat+Yogurt群はFat群に比べ,腰椎の全骨体積,「断面2次極モーメント」(ねじれに対する強さ)においてそれぞれ有意な高値を示した。Fat+Whey群ではFat群に比べ,腰椎の海綿骨密度において有意な高値を示した。さらに血清1α,25(OH)2D3濃度では,Fat+Milk群,Fat+Whey群がFat群に比べてそれぞれ有意な低値を示した。今後はさらに,骨粗鬆症予防のために牛乳・乳製品中の成分による骨代謝へ及ぼす詳しい作用メカニズムについて検討していく必要があろう。