2017 年 70 巻 2 号 p. 69-75
我が国の非アルコール性脂肪肝有病率は年々増加し, 2型糖尿病の危険因子でもあるため有効な予防・治療法の提示が急がれる。本研究では, マウスを用いて高脂肪食誘発性脂肪肝発症予防に効果的な運動時間帯 (食前または食後) および期間 (6週間または9週間) について検討した。その結果, 肝臓トリアシルグリセロール量は運動負荷期間が長いほど増加抑制され, 運動時間帯による顕著な違いは見られなかった。肝臓では, 高脂肪食摂取による脂肪肝発症で発現増加するペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γおよび標的遺伝子の発現が運動負荷期間にかかわらず有意に増加抑制されていた。また, 新規脂肪酸合成に関わるステロール調節配列結合タンパク質1cの標的遺伝子は長期運動負荷で増加抑制が見られた。以上の結果より, 運動期間が長いほど脂肪肝発症予防効果が大きく, 運動時間帯は食前・食後のいずれもほぼ同様の効果をもたらすことが明らかとなった。