日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
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70 巻, 2 号
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総説
  • 佐々木 敏
    2017 年 70 巻 2 号 p. 53-59
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/27
    ジャーナル フリー

    『日本人の食事摂取基準』は, 厚生労働省から出されているガイドラインのひとつであり, 食事・栄養に関するわが国で唯一の包括的ガイドラインである。「日本人の食事摂取基準 (2015年版) 」は, 全344ページからなり, 巻末に添えられた2つの参考資料まで含めると440ページにも及ぶ。食事摂取基準は, 栄養と食事に関するわが国で唯一の包括的なガイドラインである。今回の改定では数値の変更は比較的に少ない。一方, ガイドラインとしての位置づけをより明確にし, 活用方法について特にその理論的視点が詳述されている点が特徴である。本稿では, 日本人の食事摂取基準 (2015年版) の概要を紹介するとともに, 食事摂取基準の学問的および実務的意義について, ガイドラインという観点から簡単な考察を加える。

報文
  • 永田 龍次, 佐川 愛, 韓 圭鎬, 島田 謙一郎, 加藤 清明, 佐藤 毅, 福島 道広
    2017 年 70 巻 2 号 p. 61-67
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/27
    ジャーナル フリー

    米のもつ腸内発酵特性に関する報告はあまりされていないため, 今回はラットを用いたin vivo試験において検討を行った。米粉は, 北海道産米品種の系譜を継ぐ「ゆきひかり」および「ほのか224」, コシヒカリからの系譜を継ぐ「きらら397」および「しまひかり」を炊飯処理したものを用い, それらを30%含む食餌をラットに28日間経口投与した。その結果, コントロール群と比較して, ほのか224群において盲腸内pHの有意な低下, 盲腸内酢酸濃度および総短鎖脂肪酸濃度の増加傾向 (酢酸: p=0.067, 総短鎖脂肪酸: p=0.050) , 盲腸内免疫グロブリンA (IgA) 濃度および盲腸内アンモニア態窒素濃度の有意な増加を示した。ゆきひかり群は盲腸内酢酸濃度および総短鎖脂肪酸濃度の有意な増加を示し, しまひかり群は盲腸内ムチン濃度の増加傾向および盲腸内IgA濃度の有意な増加を示した。これらのことから, 炊飯処理された米によって腸内発酵が増大し, それは米品種の系譜の違いに影響される可能性が示唆された。

  • 伊香賀 玲奈, 山崎 聖美
    2017 年 70 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/27
    ジャーナル フリー

    我が国の非アルコール性脂肪肝有病率は年々増加し, 2型糖尿病の危険因子でもあるため有効な予防・治療法の提示が急がれる。本研究では, マウスを用いて高脂肪食誘発性脂肪肝発症予防に効果的な運動時間帯 (食前または食後) および期間 (6週間または9週間) について検討した。その結果, 肝臓トリアシルグリセロール量は運動負荷期間が長いほど増加抑制され, 運動時間帯による顕著な違いは見られなかった。肝臓では, 高脂肪食摂取による脂肪肝発症で発現増加するペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γおよび標的遺伝子の発現が運動負荷期間にかかわらず有意に増加抑制されていた。また, 新規脂肪酸合成に関わるステロール調節配列結合タンパク質1cの標的遺伝子は長期運動負荷で増加抑制が見られた。以上の結果より, 運動期間が長いほど脂肪肝発症予防効果が大きく, 運動時間帯は食前・食後のいずれもほぼ同様の効果をもたらすことが明らかとなった。

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