日本栄養・食糧学会誌
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総説
骨代謝における食事と運動の有用性に関する研究
(平成30年度日本栄養・食糧学会学会賞受賞)
石見 佳子
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2019 年 72 巻 2 号 p. 71-77

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抄録

我が国においては, 健康寿命の延伸を目的として, 種々の健康施策が遂行されている。中でも骨の健康を維持するための食事と運動は, 健康寿命の延伸のための重要な因子である。著者らは, これまでに, 骨の健康維持を目的とした生活習慣について科学的根拠を蓄積してきた。まず, 骨芽細胞並びに破骨細胞形成系を用いて食品成分のスクリーニングを行い, ビタミンA及びビタミンK誘導体, 大豆イソフラボン等が有用である可能性を示した。次に, 弱いエストロゲン様作用を示す大豆イソフラボンに着目し, 骨粗鬆症モデル動物を用いて安全性及び骨代謝における有効性評価を行うとともに, 走運動との併用効果を示した。また, 健常閉経後女性を対象に同様の介入試験を実施し, 両者の併用効果を明らかにした。他方, 大豆イソフラボンの腸内代謝産物であるエクオールの産生を高める食品成分を探索し, 難消化性糖質の有用性を明らかにして骨の健康維持に役立つ食事メニューを提案した。これらの研究成果が, 高齢者を対象とした健康施策の一助となれば幸いである。

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© 2019 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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