日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
総説
Lactobacillus gasseri SBT2055株の消化管を介した保健機能研究とその応用
(平成30年度日本栄養・食糧学会技術賞受賞)
門岡 幸男小川 哲弘高野 義彦守屋 智博酒井 史彦西平 順宮崎 忠昭土田 隆佐藤 匡央
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 72 巻 2 号 p. 79-83

詳細
抄録

Lactobacillus gasseri SBT2055株 (LG2055) の摂取による消化管を介した保健機能に関する研究を行った。内臓脂肪蓄積抑制作用については, はじめに, LG2055を含む高脂肪飼料を摂取したラットで腸間膜脂肪の脂肪細胞の肥大化が抑制されることを見出した。さらに, この知見を基にヒト介入試験を実施し, 有効性探索, 用量設定および最終製品での確認という一連の試験において, LG2055の摂取による内臓脂肪蓄積抑制作用を確認した。免疫調節作用については, マウスにおける小腸免疫グロブリンA産生促進作用およびインフルエンザウイルス感染防御作用を確認し, さらに, ヒト介入試験においてインフルエンザワクチン特異的抗体価およびナチュラルキラー細胞活性の亢進を確かめた。以上の成果の活用例として, 内臓脂肪蓄積低減作用に関する知見に基づいた特定保健用食品の許可取得および機能性表示食品としての届出があげられ, 実際の商品への保健機能表示が可能となった。

著者関連情報
© 2019 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top