日本栄養・食糧学会誌
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総説
糖尿病の重症化予防を巡る課題 ―日本人の食事摂取基準(2020年版)と今後の展望―
宇都宮 一典
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2020 年 73 巻 5 号 p. 193-197

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抄録

日本人の食事摂取基準2020年版の主たる改訂点の一つに, 「生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連」の項目立てを新設したことがあげられる。糖尿病は生活習慣病中でも重要な疾患として取り上げられており, 糖尿病診療ガイドライン2019との整合性を図る形で, その内容を反映するものとなっている。糖尿病の予防と管理の上で基本になるのが, 総エネルギー摂取量の設定である。従来, BMI=22を標準体重として, これに見合うエネルギー設定をしてきたが, 総死亡率が最も低いBMIには幅があり, その関係はフレイル予防を目指す高齢者では異なっている。また, BMI=30を超える肥満者が22を目指すことは難しい。そこで, 標準体重という言葉を廃して, 目標体重と改め, 患者の属性や現体重などから柔軟に設定することとした。今後, 二重標識水法による実際の消費エネルギー量を踏まえ, 実効性の高い設定法を検討する必要がある。

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