廃棄される未利用資源であるオホーツクホンヤドカリPagurus ochotensisを食品として利用するために, 丸ごと外骨格ごと一般成分, 重金属を, 部位別に外骨格ごと遊離アミノ酸ならびに脂肪酸を分析した。その結果, 脂質が多く, 外骨格を含むために灰分, 炭水化物が多く, 水分が低かった。総水銀, 鉛, カドミウムは検出されず, 総ヒ素は0.77 ppmであった。遊離アミノ酸総量及びタウリンはズワイガニの値よりも多く, アンセリンやカルノシンが含まれていた。腹部の脂肪酸は, エイコサペンタエン酸 (EPA) 及びドコサヘキサエン酸 (DHA) 含量が高く (100 gあたりEPA 1,600 mg, DHA 800 mg) , 季節変動するが, EPAは主な青魚類よりも多かった。オホーツクホンヤドカリの重金属類含有量は食品として問題になるレベルではないこと, 食経験の報告もあることから, 食品として利用可能と判断できた。また, 遊離アミノ酸が多く, タウリン, アンセリン, カルノシン, EPA及びDHA含量が多いことが食品としての特徴である。