自然免疫系はウイルス, 病原体などの感染を防ぐ生体の初期防御機構である。本研究では, 自己に由来する自然免疫系の抗原である内因性抗原に着目し, 自然免疫系に内因性抗原が及ぼす影響を明らかにするべく検討を行った。自然抗体は酸化タンパク質をはじめとする様々な内因性抗原の表面電荷を指標に認識しており, 恒常性維持などに寄与することが明らかになった。また食品成分とタンパク質の反応によっても自然抗体のエピトープが生成し, 免疫応答活性化に寄与することが示唆された。自然免疫系による内因性抗原の認識は, 骨格筋における筋細胞同士の融合など, 組織における生体応答に関与することも確認され, 自然免疫系は異物認識を介した感染の予防のみならず, 内因性抗原や食品成分による制御を介して全身で様々な機能を担うことで, 健康維持に寄与していることが予想される。