フレイル予防は我が国における重要な課題である。これまで, フレイル低下要因については種々の報告があるが, 食事に焦点を当てた報告は少なく, 食文化や疾病構造が日本とは異なる欧米諸国が中心であった。筆者はフレイル予防に有効な食事を明らかにすることを目的とした栄養疫学研究を行ってきた。地域在住高齢者を対象とした前向きコホート研究では動物由来たんぱく質の高摂取が7年後の高次生活機能維持に関連していることを明らかにした。また, フレイルのリスク要因である貧血に着目し, 動物性食品や動物性食品を中心とした食事パターンが貧血リスク低下と関連することを明らかにした。さらに近年にかけて急速に平均寿命が延びてきた滋賀県に注目し, 複数の食事・生活習慣要因を組み合わせるほど, 死亡率が低いことや主観的健康感が高い者が増加することを明らかにした。これらの知見は, より早期の段階での動物性たんぱく質を中心とした食事と複数の生活習慣要因の組み合わせがフレイル予防に寄与する可能性を示している。