日本栄養・食糧学会誌
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総説
食品因子の薬物代謝系を介した生体防御機能に関する研究
(令和4年度日本栄養・食糧学会奨励賞受賞)
北風 智也
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2022 年 75 巻 6 号 p. 291-296

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抄録

生体外異物であるダイオキシン類による毒性はアリール炭化水素受容体 (AhR) を介した作用であるため, AhRの活性化を抑制することが毒性の緩和につながる。ダイオキシン類の毒性の緩和は転写因子nuclear factor-erythroid 2-related factor 2 (Nrf2) を介した薬物代謝第Ⅱ相酵素の誘導も有効である。Nrf2の活性化はダイオキシン類の暴露以外の環境ストレスに対する生体防御機能も高める。そのため, AhRを抑制しNrf2を活性化する食品因子の探索を行ってきた。筆者はこれまでに, フラボノイドであるルテオリンとケンフェロールの共作用がAhRの活性抑制効果を増強すること, 日常的な食事から摂取可能な量のルテオリンがNrf2を活性化することを明らかにした。また, AhRの活性化が引き起こす肝臓への脂肪蓄積が, 概日リズムの乱れに起因することと, ルテオリンとケンフェロールによる抑制効果を見出した。これらのことから, ルテオリンとケンフェロールは薬物代謝系を介した生体外異物に対する生体防御機能に関して, 有効性が明らかとなった。

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© 2022 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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