日本栄養・食糧学会誌
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総説
摂食調節における求心性迷走神経の役割
大林 健人能美 太一岩﨑 有作
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2023 年 76 巻 2 号 p. 95-104

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抄録

空腹感によって食事を開始し, 飽満感を得て食事を終える。この生きるために必要不可欠な摂食行動は, 主に視床下部・延髄における恒常的摂食調節によって制御されている。そして時に, 美味しいものが食べたいといった, 生体のエネルギーバランスとは無関係に快楽的な摂食行動が駆動するが, これは脳内の報酬系によって制御される。そして, 長期的にみてエネルギー収支が一定に保たれることによって体重は維持され, 異常となると肥満や痩せが生じる。この複雑な摂食調節機構に安全にアプローチして摂食行動異常を改善する治療薬は未だ開発に至っていない。そして, 有効な食事指導法を継続させることは容易でなく, より良い方法の確立が待たれている。本稿では, 摂食調節機構を概説し, 末梢のエネルギー情報 (栄養素・食事成分, 食関連ホルモン) を脳に伝達する求心性迷走神経の機能について解説する。

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© 2023 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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