日本栄養・食糧学会誌
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総説
機能性腸内代謝物素材ウロリチンAの開発
(令和5年度日本栄養・食糧学会技術賞受賞)
卯川 裕一工藤 眞丈沢田 翔一石輪 俊典中島 賢則
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2023 年 76 巻 6 号 p. 383-390

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抄録

ウロリチンは, ザクロに含まれるエラジタンニンやその加水分解物であるエラグ酸が, ヒトの腸内細菌によって代謝されて生成する機能性ポリフェノールである。我々はウロリチンC生産菌とウロリチンA生産菌との共培養システムにより, エラグ酸を出発物質としてウロリチンAを1ポットで生産することに成功した。これらの技術をベースに共培養によって安定的にウロリチンAを発酵生産できるプロセスを開発して工業レベルでの製造プロセスを確立し, ウロリチンAを10%含む食品素材を2021年5月に製品化 (ウロリッチ®) した。ウロリチンAはマイトファジー促進作用の他にも抗酸化作用, 抗炎症作用が報告されている。我々はウロリチンAが脂肪滴蓄積抑制, 破骨細胞分化抑制, ヒト表皮角化細胞に対する作用や抗アレルギーなどの機能性を有することを明らかにした。さらに, 血管内皮機能に関し, ヒトでの評価を実施し, メカニズム解明を行った。ウェルビーイングが求められる時代に沿った機能性素材としてウロリチンが, 人々の健康維持増進に貢献できるものと考えている。

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© 2023 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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