日本栄養・食糧学会誌
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総説
慢性炎症を標的とした食品因子によるメタボリックシンドローム及びロコモティブシンドローム予防効果
田中 未央里飯田 薫子井上 博文高橋 信之上原 万里子
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2024 年 77 巻 2 号 p. 117-124

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抄録

わが国を含む世界各国で蔓延する生活習慣病, 動脈硬化性疾患, 骨疾患などに共通する初期病態として, 慢性炎症が注目されている。肥満者の脂肪組織では, 肥大化した脂肪細胞にマクロファージが浸潤し, 脂肪細胞から遊離脂肪酸, マクロファージから炎症性サイトカインが過剰に分泌されることで, 脂肪組織の慢性炎症や線維化がもたらされる。線維化により脂肪蓄積能が低下した結果, 肝臓など他の臓器への異所性脂肪蓄積, インスリン抵抗性などの代謝異常が惹起される。また, 炎症の慢性化に伴い骨代謝が破綻し, 骨吸収が亢進することで, 様々な骨疾患が引き起こされる。一方で, 食品中のポリフェノールは抗炎症作用を有する機能性成分として注目され, 疾病予防の一助となることが期待されている。本稿では, メタボリックシンドローム及びロコモティブシンドロームに関連する様々な疾患の発症・進展における慢性炎症の役割について概説し, 慢性炎症を標的としたポリフェノールの疾病予防効果について紹介する。

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© 2024 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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