プロポリスはミツバチが作り出す養蜂産品のひとつで, 高い抗菌, 抗酸化作用を有しており, 古くから民間療法として利用されてきた。ブラジル南東部で生産されるグリーンプロポリスはヒト試験において様々な有効性が報告されており, 特徴的に含まれるアルテピリンCやドルパニンなどの経皮酸誘導体がその活性成分であると考えられているが, 生体内への吸収や代謝に関する研究報告は多くない。私たちはこれまでに, ヒトおよびラットを用いてプロポリス成分の血中への吸収性や代謝物の解析を進め, プロポリス中でアルテピリンCよりも含有量の少ないドルパニンの方が高い血中濃度を示すことや, それらが抱合代謝を受けるだけでなく, 酸化反応により水酸基が導入されることを明らかにしてきた。本総説では私たちが行ってきた研究の結果を中心に, プロポリス成分として経皮酸誘導体に焦点を当ててその吸収性と代謝性について概説するとともに, 今後の展望について述べる。