日本栄養・食糧学会誌
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総説
SGLT2阻害薬の臨床効果~食事療法との関連を踏まえて~
大村 有加藤本 啓
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2024 年 77 巻 5 号 p. 339-344

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抄録

SGLT2阻害薬 (Sodium-Glucose Cotransporter-2 inhibitors) は, 近位尿細管内のSGLT2 (Sodium-Glucose Cotransporter-2) に作用して, 尿中へのグルコースの排泄を促進する経口血糖降下薬である。もともと期待されていた血糖値降下作用とは独立して, 心腎保護効果を期待できることから, 一部の薬剤は国内外のガイドラインで慢性心不全および慢性腎不全の治療薬として推奨されている。多面的な効果を享受できるSGLT2阻害薬であるが, 注意すべき副作用に, 脱水, 性器感染症, 正常血糖ケトアシドーシス (euglycemic ketoacidosis) がある。正常血糖ケトアシドーシスのリスクを回避するためには, 食事療法に注意する必要があり, 糖質制限食を行わないことがとくに重要である。そのほかには, 全身麻酔を要する待機手術の際にはSGLT2阻害薬を前もって休薬することや, 重症緊急入院の際には血糖値を管理しつつ, グルコースと水分をしっかり補充する必要がある。

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