2型糖尿病の発症予防には, インスリン抵抗性を惹起する因子への介入が重要となる。インスリン抵抗性の関連因子として, 血中脂肪酸が指摘されている。本研究は, 非糖尿病若年者の血中脂肪酸組成とインスリン抵抗性 (HOMA-IR) との関連を明らかにするため, 血中脂肪酸画分の奇数鎖飽和脂肪酸 (OcSFAs)・偶数鎖脂肪酸組成とHOMA-IRとの関連性, 各脂肪酸組成の変動に関連する生活習慣因子を探索した。対象者には身体活動量・食事調査, 体組成測定および空腹時採血を実施した。血清中の脂質濃度, HOMA-IRに加えて, 薄層クロマトグラフィーにて分画した各脂質画分中のGC-MS分析により脂肪酸組成を測定した。その結果, 女性ではPL画分中のOcSFAs組成とHOMA-IRの間に負の相関を認めたが, PL画分中のOcSFAs組成と生活習慣や栄養素, 食品群との関連性は認められなかった。一方, 男性では上記の関連性はみられず, PL画分中のOcSFAs組成とHOMA-IRの関連には性差がある可能性が示された。