2026 年 79 巻 4 号 p. 269-275
食事調査は栄養疫学の根幹を成すが,多くの課題を内包している。今後,技術革新により,AI画像解析等による推定精度の高い食事データと,健診・治療歴やゲノムなどのマルチオミックスデータを統合したビッグデータの構築が進められる。AIによる高度な解析・評価は,科学的根拠に基づく健康政策や食事療法,ガイドライン等の策定と社会実装を強力に牽引するであろう。しかし,AI駆動型の栄養疫学や食事調査においても,依然として固有の限界や倫理的課題が残存する点には,十分な留意が必要である。さらに,食事データを収集,解析,結果を適切に解釈するには,疫学,栄養疫学,栄養学,食品学,調理学,統計学,情報科学,社会学など多様な分野の専門知識が必要で,データサイエンス・AIの食事調査から新しい価値を創造し,実社会の課題を解決する高度専門家の人材育成も課題である。本総説では,栄養疫学におけるデータサイエンス・AIの食事調査を中心に,その長所,短所,課題について紹介する。