2026 年 79 巻 4 号 p. 261-267
栄養疫学の本質たる「なぜ」を究明する疫学的思考は,難解さゆえに理解が進まなかった。さらに「どのように」の手法を具現化・提案するデータサイエンス・AIが普及したにもかかわらず,理論と技術の両輪を程よく深く修得する教育的機会も乏しかったことが浮き彫りとなった。本総説は,Society 5.0時代の「栄養疫学×データサイエンス・AI」を展望する。近年の因果推論を重視する疫学研究の要点,および,理論を現場へ活かす全体像を整理することで,データサイエンス・AIを活用した栄養疫学の限界と難しさを踏まえ,研究成果を保健・医療などの現場に役立てるための大切なポイントを分かりやすく紹介する。そして,ビッグデータとデータ駆動型リアルワールドデータのAI解析による新たな価値創出の重要性を紹介して,科学的根拠に基づく医学・栄養学の成果を健康政策や食事療法指針の策定・社会実装へと反映させる際の基本事項を概説する。