2026 年 79 巻 4 号 p. 277-284
本稿は,少子高齢化と社会保障費増大を背景に,自治体における健康データ活用が健康寿命延伸施策に果たす意義を整理した。先行研究に加え,兵庫県淡路市の実践事例を対象に,健診,医療,介護等のデータ連結・分析と,管理栄養士を中心とする多職種連携の有効性を考察した。淡路市ではKDBにとどまらない健康データ活用により低栄養,骨粗鬆症,認知症等の関連を踏まえた施策立案が進められていた。以上より,健康データに基づくEBPMは,地域課題の可視化,自立期間の延伸,個別最適化支援の強化に有効であり,栄養マネジメントを中核とした自治体政策の発展が期待される。とくに,口腔機能低下と低栄養の関連把握,地域包括支援センターを基盤とする継続支援体制の整備が,要介護化予防の実装に重要であることが示唆された。