抄録
食品中のマグネシウムを迅速にしかも正確に定量する目的で原子吸光分光分析法を検討した結果十分応用できることを認めた。
(1) 原子吸光分光分析法によるマグネシウムの定量について基礎的な検討を行ないその測定条件を定めた。
(2) 共存元素の影響について試べた結果アルミニウム, ケイ素がかなりの干渉作用を示したがいずれも測定液中に塩化ストロンチウム溶液 (測定液中のストロンチウム濃度が2500ppmとなるよう添加) を添加することによりこれらの干渉を抑制することができた。
(3) 塩化ストロンチウムの添加によりノイズが大きくなり測定が困難になるが, 測定液中にエチルアルコール20ml (測定液100mlに対して) 添加し, 測定前にバーナーヘッドを1%フィチン酸液に約10分間浸漬し水洗することにより完全にノイズを抑制することができた。
(4) 添加回収試験を行なったがほぼ満足な結果を得た。
(5) 原子吸光分光分析法とE.D.T.A滴定法との定量値の比較を行なったがほぼ同一の値を得た。
(6) 本法による定量値の再現精度は同一試料液について6回測定した結果変動係数は3.3%であった。
(7) 水産食品中のマグネシウム含量は30~60mg%であり, 一般に魚類より貝類に多く含まれていた。