抄録
日本人の人乳と育粉のミネラルについて実験し, 育粉改善の問題点を探った。測定したミネラルは, K, Na, Ca, Mg, P, Cl, Fe, Cu, Mo, およびZnの10元素であって, それらの標準含量 (泌乳開始後2~4カ月の乳の平均) はそれぞれ, 人乳100g中50mg, 15mg, 26mg, 4mg, 14mg, 38mg, 76μg, 27μg, 0.2μg, 201μgであった。
育粉は, 1953年以降に開発されたものをすべて対象とし, ミネラルからみたhumanizationの歴史をたどった。また, 人乳と比較することによって, Znに関心をもち, 今後の興味ある研究課題であることを指摘した。
本報の特色は, 特定の元素を対象とせず, 全ミネラルのバランスに焦点を置いて考察したことにある。