栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
市販蜂蜜の品質に関する研究 (第1報)
蜂蜜の糖類分別定量法の簡易化
岡崎 邦夫
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1970 年 23 巻 6 号 p. 374-378

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抄録
わが国の食品加工技衛から考え, 日本薬局法, FAO/WHOの食品国際規格案のみでは蜂蜜の品質判定は困難で, 糖類の分別定量を行なう必要があると考え, まずA. O. A. C. 法より簡易な定量法の設定を試みた。すなわち, 1 3, 6-ジニトロフタル酸法を用いると微量の糖類を正確に定量でき, クロマトグラフィーを簡易にし分析時間を短縮できる。 またブドウ糖と果糖の検量線が一致するのでクロマトグラフィーでの単糖類溶出フラクションについて全糖量を求め, その値から別に求めたブドウ糖量を差引けば正しく果糖量が定量できる。
2 麦芽糖と乳糖との検量線が一致し, そのOptical Densityがブドウ糖の0.785倍であるので, 二糖類溶出フラクションについてまず麦芽糖量を求め, ついで麦芽糖が加水分解されない条件下で庶糖を転化糖に変えて全糖量を求め, その値から麦芽糖のブドウ糖換算値を差引けば庶糖量が定量できる。
3 本改良法での測定値の変動係数はブドウ糖1.06%, 果糖1.02%, 麦芽糖3.08%で再現精度は高い。
4 採取蜂蜜2件, 市販蜂蜜4件について本法とA. O. A. C. 法の両法で構成糖量を測定した結果, 両法の結果はほぼ一致し, A. O. A. C. 法に比べ定量操作が簡易で品質判定の一手段として用いうることを示した。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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