抄録
本研究はニンジンの生育時および貯蔵中における硝酸塩含量と硝酸還元酵素活性の変化について調べたものである。
(1) 生育中硝酸塩含量は葉柄が最も多く, 生育中期には小葉の3倍, 根の6倍量もあった。 葉柄, 小葉では硝酸塩含量は生育するに伴い減少したが, 根はほとんど変化しなかった。
(2) 生育中の酵素活性は小葉が最も高く, 葉柄, 根の順であった。
(3) 生育の中期および後期に葉のついたまま20℃に貯蔵すると, 硝酸塩量は葉柄の部分で少し減るが小葉, 根は変化がなかった。このときの酵素活性は, 小葉で貯蔵初期に急減し, 以後も漸次減少したが, 葉柄, 根では変化がなかった。
(4) ニンジンの根を0℃でCA貯蔵 (CO23%, O23%) したときの硝酸塩量は, 普通空気区よりも減少する傾向がみられるが, 貯蔵末期では大体同じ値になった。
(5) ニンジンの還元型アスコルビン酸について生育中および貯蔵中の含量をみたが, 硝酸塩量との間に特に関係はみられなかった。