栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
ラットにおける遅延型アレルギー反応成立に対する栄養条件
坂本 元子石井 荘子西岡 久寿彌
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1979 年 32 巻 2 号 p. 99-104

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抄録
遅延型アレルギー反応の確認には抗原によって免疫を課する「感作」, 新たな抗原の投与をうけたさいのTリンパ球による抗原の「認識」さらにリンフォカインが生成され, 「炎症」をひきおこし, 炎症像形成にいたる反応まで三つの構成段階がある。
低栄養状態の場合のこの反応の消失にいずれの段階の栄養状態が影響するかを確認することは栄養条件を基盤とした免疫現象の動向を追求する場合には重要なことである。感作時と認識時の栄養条件を変えて反応の動向を検討した。
低栄養時に死菌感作したラットは, 食餌変更後, 認識時に栄養状態が回復している場合, 全例が陽性を示した。しかしながら十分に回復していない時期では60%が陰性を示し, 認識時の栄養状態が反応に影響することを指示している。
このことから栄養状態が免疫監視機構あるいは生体防衛に影響する段階は, 抗原感作時ではなく, 抗原認識時あるいはそれにともなっておこる炎症反応の段階におけるものであることが明らかにされた。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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