日本栄養・食糧学会誌
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マウスにおける米酢の急性毒性と脂質代謝に及ぼす作用について
谷澤 久之佐塚 泰之小松-芹田 明子滝野 吉雄
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1983 年 36 巻 4 号 p. 283-289

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抄録

米酢は米よりつくる醸造酢の一種であり, 単なる食用酢としてではなく, 東洋では民間薬として健康維持に役立ってきた歴史を持っている。著者らは, マウスを用い急性毒性と脂質代謝に及ぼす影響を検討した。その結果, 1) マウスでの急性毒性は21.5ml/kg (p. o.) でその死因は含有する酢酸による上部消化管に対する障害作用に基づくことが認められた。2) 通常食および高コレステロール食で飼育したマウスの血清コレステロール値を米酢は 2.5ml/kg (p. o.) 以上で低下させた。また, 4%酢酸水溶液でも, ほぼ同様の効果が認められた。3) 抗生物質アドリアマイシソによる心臓中の過酸化脂質 (LPO) 上昇に対し, 米酢は2.5ml/kg (p. o.) で抑制した。また, 正常マウス心臓中のLPOも5ml/kg (p. o.) 以上で低下させた。一方, 4%酢酸水溶液のこれらLPOに対する作用は弱いものだった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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